サロンを開業する時は、物件、内装、メニュー、価格、予約導線、届出など、決めることが多くあります。
一方で、後回しになりやすいのが「お客様の情報をどう残すか」です。
開業直後は予約が入るだけで忙しく、来店後の記録はメモや予約システムの備考欄に散らばりがちです。最初はそれでも回りますが、3か月、6か月と経つと、誰に次回提案をしたのか、どのお客様が戻っていないのか、どの悩みで来ていたのかが見えにくくなります。
この記事では、1〜4人規模のリラクゼーション・エステ・ヘッドスパ・美容サロン向けに、開業後すぐ作っておきたい顧客台帳の項目、初回カルテとのつなげ方、来店履歴から次回提案へ進める運用を整理します。
結論:開業直後の顧客台帳は「再来店の判断」ができればよい
顧客台帳は、細かい情報をすべて集めるためのものではありません。
まず必要なのは、次の4つが分かる状態です。
見る情報 | 何を判断するためか |
|---|---|
前回来店日 | 次の声かけ時期を決める |
前回メニュー | 次回に提案する内容を決める |
前回の悩み・目的 | 一斉送信ではない声かけにする |
次の対応 | 次回予約、7日後フォロー、21日後確認、保留などを決める |
開業直後から完璧なCRMを作る必要はありません。まずは「誰が、いつ、何のために来て、次に何をするか」が見えるだけで十分です。
この4つが見えると、次回予約が入らなかったお客様を放置しにくくなり、久しぶりのお客様にも前回の内容を踏まえて声をかけやすくなります。
開業準備では「集客」と同時に「残す情報」を決める
開業前後は、新規集客や予約導線に意識が向きます。
- InstagramやGoogleマップを整える
- 予約サイトに掲載する
- メニューと価格を決める
- 開業届や保健所の確認を進める
- 店内写真やプロフィールを準備する
これらは大切です。ただし、来店したお客様の情報が残らないと、集客で得た接点が1回限りになりやすくなります。
開業手続きや届出の確認は「エステサロン開業届・保健所届出・資格の要否」で扱っています。本記事では、その次に必要になる「来店後の管理」に絞ります。
まず作るべき顧客台帳の項目
最初の台帳は、複雑にしすぎない方が続きます。
おすすめは次の項目です。
項目 | 内容 |
|---|---|
顧客ID | 氏名とは別の管理番号でも可 |
初回来店日 | 最初に来た日 |
前回来店日 | 最後に来た日 |
前回メニュー | 施術内容 |
悩み・目的 | 肩こり、睡眠、肌荒れ、むくみ、疲労感など |
次回予約 | あり / なし |
次の対応日 | 7日後、21日後、30日後など |
最後に連絡した日 | 送りすぎ防止 |
反応 | 返信あり、予約、保留、不要など |
重要なのは、情報を増やすことではなく、次の行動に使えることです。
たとえば「肩こり」とだけ残すより、「首の付け根がつらい。デスクワークが多い。3週間ほどで戻りやすい」と残す方が、次回の声かけに使えます。
初回カルテと顧客台帳は分けて考える
初回カルテは、お客様の状態を理解するためのものです。
一方、顧客台帳は、来店後に次の行動を決めるためのものです。
種類 | 主な役割 |
|---|---|
初回カルテ | 悩み、生活習慣、禁忌、希望、施術方針を確認する |
顧客台帳 | 来店履歴、次回提案、フォロー日、反応を管理する |
初回カルテを詳しく書いていても、来店後の台帳に次の対応が残っていなければ、フォローは属人的になります。
反対に、台帳だけあっても初回の悩みが残っていなければ、送る文面が一斉案内のようになります。
初回で何を聞くかは「サロンの初回カウンセリングでリピート率を上げる方法」で詳しく整理しています。開業直後は、初回カルテで聞いたことを、台帳の「次の対応」に必ずつなげるのがポイントです。
来店後に残すべき3つのメモ
施術後の記録では、長い文章を書こうとしなくて構いません。
次の3つだけ残します。
1. 前回の状態
お客様が何を気にしていたかを残します。
首肩の重さ。目の疲れ。月末に疲れが強くなる。
2. 次に来るとよい目安
来店周期の目安を残します。
3週間後に状態確認。疲れが強ければ60分、深く整えるなら75分。
3. 次の声かけ
次に何をするかを残します。
7日後に状態確認。21日後に次回候補を案内。
この3つがあれば、翌週のフォローで迷いにくくなります。逆に、施術内容だけを残しても「次に誰へ何を送るか」は決まりません。
次回予約がないお客様を見落とさない
開業直後は、新規のお客様が来ると安心しやすい時期です。
ただし、次回予約なしで帰ったお客様をそのままにすると、再来店の機会を逃します。
毎週1回、次の条件で台帳を見ます。
- 前回来店から7日以上経っている
- 次回予約が入っていない
- 前回の悩みやメニューが分かる
- まだ連絡しすぎていない
- 次に送る内容が決められる
次回予約なしのお客様への具体的な7日・21日・30日フォローは「次回予約なしのお客様を放置しない」で扱っています。66号では、その前提になる台帳の作り方を扱っています。
久しぶりのお客様にも前回の内容で声をかける
台帳があると、しばらく来ていないお客様への連絡も変わります。
弱い文面は、次のような一斉案内です。
お久しぶりです。キャンペーン中ですので、ぜひお越しください。
台帳に前回の内容が残っていれば、次のように変えられます。
お久しぶりです。
前回は首肩まわりのお疲れを気にされていましたが、その後いかがでしょうか。
季節の変わり目で重さが出やすい時期ですので、整えたいタイミングがあればご相談ください。
同じ連絡でも、前回の記録に触れるだけで受け取り方は変わります。
久しぶりのお客様へ最初に送る文面は「久しぶりのお客様にどう声をかける?」で、返信が来た後の返し方は「久しぶりのお客様から返信が来たら?」で整理しています。
予約システムやExcelだけではなく「見る日」を決める
ツールを入れても、見る日が決まっていなければ運用は止まります。
開業直後は、週1回15分で十分です。
- 次回予約なしのお客様を出す
- 前回来店から7日・21日・30日経った人を見る
- 前回の悩みとメニューを確認する
- 3〜5人だけ声かけ候補にする
- 送信日と反応を台帳に戻す
ポイントは、全員を追わないことです。
前回の内容が分かる人、関係性がある人、来店周期から見て自然な人から始めます。返信がない人や不要の意思がある人を深追いしないルールも、台帳に残しておきます。
開業直後に起きやすい失敗
1. 備考欄に何でも書いて探せなくなる
予約システムの備考欄にすべて書くと、後から「誰が21日後フォロー対象か」を探しにくくなります。
自由メモとは別に、前回来店日、次回予約有無、次の対応日だけは一覧で見えるようにします。
2. 名前だけで管理してしまう
同姓同名、家族来店、スタッフ間共有があると、名前だけでは混乱します。顧客IDや予約システム上の管理番号を残しておくと安全です。
3. 送った後を記録しない
連絡を送っても、送信日と反応を残さないと、同じ人へ何度も送ってしまいます。
「送った」「返信あり」「予約」「保留」「不要」だけでも残しましょう。
4. 開業直後から項目を増やしすぎる
最初から細かい分析項目を増やすと、入力が続きません。
まずは再来店判断に使う項目だけに絞り、必要になったら増やします。
Ripiaで支援できること
開業直後の顧客管理で難しいのは、台帳を作ることよりも、毎週見続けることです。
Ripiaでは、予約・顧客・来店履歴を整理しながら、次のような確認を一緒に進めます。
- 次回予約がないお客様を見つける
- 前回来店日と来店周期を確認する
- 初回カルテの内容から次の声かけを考える
- 送信日と反応を残す
- 追うお客様と追わないお客様を分ける
新規集客で来てくれたお客様を、1回限りで終わらせないためには、開業直後から小さな台帳を持つことが大切です。
自店ではどの項目から整えるべきか確認したい場合は、30分の導入相談で現状を一緒に整理できます。
よくある質問
Q1. 開業直後はExcelで十分ですか?
最初はExcelやスプレッドシートでも構いません。重要なのは、前回来店日、次回予約有無、次の対応日、反応が一覧で見えることです。人数が増えて入力や確認が負担になってきたら、専用ツールへの移行を検討します。
Q2. どの項目から始めるべきですか?
まずは前回来店日、前回メニュー、悩み、次回予約有無、次の対応日です。この5つがあれば、次に誰へ声をかけるか判断しやすくなります。
Q3. 初回カウンセリングの内容をすべて台帳に入れるべきですか?
すべて入れる必要はありません。台帳には、次回提案やフォローに使う要点だけを残します。詳しい状態確認や禁忌情報は、初回カルテ側で管理します。
Q4. 次回予約を取れなかったお客様は失敗ですか?
失敗ではありません。予定が分からない、家族の都合がある、まず様子を見たいなど理由はさまざまです。大切なのは、その後に自然なタイミングで状態確認できるようにしておくことです。
Q5. 休眠顧客は全員追うべきですか?
全員を追う必要はありません。前回の悩みが分かる人、過去に複数回来店している人、連絡しても自然な関係性がある人から始めます。返信がない場合や不要の意思がある場合は深追いしない方が安全です。
